変形性膝関節症とは
膝関節の軟骨がすり減り、痛みや腫れを生じる疾患です。
加齢や筋肉量の低下などにより膝関節のクッションの役割をしている軟骨がすり減り、膝関節の骨と骨の隙間が減るにつれて骨が変形し、痛みや腫れを生じます。さらに進行すると、骨と骨がぶつかって激しい痛みを引き起こします。
進行が進むと歩けなくなることもあるため、違和感を感じた初期に受診し、早期の治療が望ましい疾患です。
初期 | 症状)朝起きて、動作を開始する際に痛みやこわばり等の違和感を感じます。 状態)関節の軟骨がすり減って関節の隙間が狭くなっている状態です |
中期 | 症状)段昇降がつらくなったり、正座ができなくなります。 状態)骨の変形が進んでいます。膝に水が溜まったり、きしむような音がすることもあります。 |
進行期 | 症状)激しい痛みを感じ、普通に歩いたり、座ったりすることが困難になります。 状態)軟骨がすり減ってなくなり、膝の上下の骨同士が直接ぶつかっている状態です。 |
正常な膝関節 | 中期~進行期の膝関節 (50代男性) |
中期~進行期の膝関節 (90代女性) |
膝の上の骨と下の骨との間にクッションがしっかりあり、変形等の異常が見られない正常な状態 | クッションの働きのある軟骨に石灰が溜まって固くなっている状態。この時点でもかなり痛みがあり、この後は軟骨が摩耗してさらに進行していく状態である。 | 膝の内側の軟骨が摩耗して上下の骨が直接ぶつかっている状態。ぶつかっている骨には関節の外に張り出すように骨棘ができている。O脚になり、階段等かなり苦痛を感じる状態である。 |
こんな人は要注意
体重が増加傾向の方や筋力が低下する中年以降に発症しやすくなります。
50歳以上の女性で肥満体型の方や立ち仕事が多い方は、特に注意が必要です。
原因
膝は、若い頃から日常的に負担をかけてきているため誰にでも起こりうる疾患です。
主な原因として、加齢による膝関節軟骨の毛羽立ちやすり減り、O脚やX脚があげられます。
その他、外傷等も原因となります。
※膝には、若い頃から日常的に負担がかかっています
診断方法
問診)こんな自覚症状があるかどうかを診察でお聞きします。
・椅子からの立ち上がり等、動作時に痛みがある
・体重が増加した
・最近歩いていない
・重い物を持ち運ぶ仕事をした
・屈伸を繰り返す作業をした
・外傷歴がある
触診)このような症状があるか触診で確認します。
・大腿骨と脛骨の間(関節裂隙)を抑えると痛みが出ないか触れて調べます
・関節に水が溜まって腫れていないか触れて調べます
検査
・レントゲン撮影による関節の状態の確認(骨棘等の有無)
・MRIによる軟骨状態の把握
※この疾患は、血液検査では特に異常は見られません
治療方法
初期 | 生活指導・運動療法と消炎鎮痛剤の外用薬や内服薬で治療を行います。 |
中期以降 | 関節内ヒアルロン酸注射、手術療法 (運動療法)大腿四頭筋訓練等 膝関節周囲の筋力強化 (生活指導)適切な運動・減量・食事 (装具)足底板、サポーター、杖 |
予防・改善方法
まずは、日常生活を見直すことから始めましょう。
・減量
・運動
・生活様式の改善(正座・胡坐をしない、畳の上での生活から椅子・テーブルの生活へ変える)
受診のタイミング
年齢に関係なく、膝に何か違和感を覚えた時に受診しましょう。
受診していただいたら、まずどんな状態なのかを確認し、どんな風に生活改善をしたらよいか、どんな運動が必要か、症状に応じてアドバイスをさせていただきます。
希望される方には、管理栄養士による減量のための食事改善、理学療法士による適切な運動について、個別にお話を伺い、丁寧にお教えします。
一体何をしたらよいかわからないという方は診察時に医師にお申し出ください。
一緒に、早期治療・早期改善していきましょう!
2021.12